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国の制度、既存住宅状況調査(中古の戸建て、アパート、マンションの劣化等の状況調査)

その中古住宅の取得に不安は有りませんか?
仲介業者が提供するデータの中身を理解していますか。
また、それが全ての情報だと思いますか?

中古住宅の安心安全な取引をすすめる制度「既存住宅状況調査」のご紹介です


このページは、国の制度である既存住宅状況調査(中古住宅の劣化等の調査)についてのページです。住宅以外の建築の調査や土地の調査についてはこちらをご覧ください。

■ 制度の背景と概要

 

数年前から空き家の増大が社会問題化しています。新築住宅が建設される一方で、中古住宅の流通は低い水準で伸びていません。

政府の調査では、新築にこだわらない意向の人が増えており、政府は安心して中古住宅を購入できる市場環境を整えようとしています。

既存住宅(=中古住宅です 共同住宅・賃貸住宅も含む)の売買において、住宅の価値・価格は、住宅の劣化事象等の状況に依存しますが、建築について素人である売買の当事者には判断が出来ず、取引には漠然とした不安が有ります。

買主は、購入を検討している住宅の質に不安を抱えているのが一般的です。
一方で、
素人である売主に既存住宅の問題や瑕疵について責任を負わせるのは困難です。
こうした不安が中古住宅の売買が促進されずに空き家として放置される、もしくは、使うことが出来るにも関わらず解体されてしまう一因となっています。

そこで、この制度は
有資格者(建築士の中でこの資格を有する者)によって、客観性・中立性のある調査を制度化して実施し、安心な取引をサポートし、中古住宅市場の活性化を図るというものです。

施行から3年になりますが、最近では、
この調査が銀行融資の条件になることや、より良い融資条件のためにはこの調査を銀行から求められることも有るようです。

制度の詳細は、改正宅地建物取引業法、国土交通大臣告示(平成29年度第82号)に示されています。
以下に、その概要を説明します。





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■ 改正宅地建物取引業法の概要

 

平成28年6月宅地建物取引業法(宅建業法)改正により、資格を所有する専門家による「取引される建物の状況調査」の活用を促す制度が出来ました。(平成30年4月1日施行)

仲介業者が「住宅の調査を促す」ことにより、売主・買主が安心して取引できる市場の整備を目指すもので、
具体的には、

1.媒介契約締結時

建物状況調査を実施する者のあっせんに関する書面を依頼者に交付する(交付は義務付け)

媒介契約書にあっせんの有無を記載することが義務付け

調査するかしないかは、売主の判断によります(即ち、義務ではない)


2.重要事項説明時

宅地建物取引士は、建物状況調査を実施しているかどうか、及び実施している場合はその結果概要と

建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存の状況

について記載した書面を交付して説明しなければなりません。(交付・説明は義務付け)


3.売買契約締結時

構造耐力上主要な部分等の状況について「当事者の双方が確認した事項」を記載した書面を当事者に交付。(交付は義務付け)

確認した事項が無ければ「無し」と記載


中古住宅の売買の取引の際に、既存住宅状況調査の調査自体は義務付けではありません。宅建業者に調査のあっせん、調査の実施の有無の記述、確認事項などの書面の交付は、義務付けられました。


  >>>リフォームの設計監理ページ


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■ 調査の概要

 

国の制度になりましたので、法律で、調査部位や調査の方法が具体的に決められており、国土交通大臣告示により、既存住宅状況調査方法基準が示されています。

その内容は

以下の調査から構成されています。

1.構造耐力上主要な部分の調査
  基礎や、柱梁などの骨組みを調べます。

2.雨水の侵入を防止する部分の調査
  屋根やバルコニーを調べ、屋内に漏水の痕跡が無いか調べます。

3.耐震性に関する書類の確認
  新耐震基準に適合しているか書類で調べます。

つまり、建物を支える構造がどのような状況か、雨をしのぐことが出来ているかという住宅の最低限必要な機能の確認と、耐震性が現在の基準に適合しているかを書類確認します。

調査部位・調査方法や報告書の書式も定められており、依頼主に報告(提出)します。これらを完成させれば、前述の改正宅建法に定められた書類に記載したり、契約に使用することが出来るようになります。



調査場所は、屋外の外壁周り、屋根は屋根面が見える位置からの目視、屋内の全ての部屋の調査などを行います。

調査方法は、目視を中心とした非破壊調査により、劣化事象等の状況を把握するもので、歩行その他の通常の手段により移動できる位置から行うという原則が有ります。

そのため、足場を架けての調査や、床下・天井裏に入っての調査は行いません。床下・天井裏の調査は、点検口などから目視できる範囲の調査で判定されます。

これら標準以上の調査を希望される場合は、別途費用がかかります。



また、中古住宅の劣化事象等の状況を把握するという制度の趣旨なので、下記についての判断はこの調査の中では行わないことになっています。

                             
  • 建築基準関係規定の違反の有無の判断
  •                          
  • 耐震性や省エネ性能等の性能の程度の判断
  •                          
  • 劣化事象等の原因・瑕疵の判断


■ 調査発注の手順

 

既存住宅状況調査を依頼する場合は、依頼者と調査者で契約を交わすことが法律で義務付けられています。

まずは、所在地、構造、規模などの概要をまとめ、特に心配な点などがあれば記述し、メールにてお問い合わせください。電話での相談がスムーズに進みます。オンライン・電話相談は無料です。

その後の手順は

事前調査、聞き取り → 調査費見積 → 契約
現地調査 → 写真整理・報告書作成 → 報告書提出(依頼者に説明)
という流れになります。

調査の依頼者とは

売主の場合、買主の場合、仲介者の場合などが想定されます。調査依頼の理由は様々ですが、
一般的な理由としては、下記のような理由が多いのではないでしょうか。

売 主:問題が無いことをアピールしたい、問題が有る場合は明らかにしておきたい
買 主:問題が無いか専門家に調べて欲しい。銀行融資の条件なっているので。
仲介者:安全・安心な仲介をしたい。重要事項説明を確実にしたい。

誰が依頼者になるか(調査費用の支払いをするか)は、それぞれの事情や、誰が希望するか、力関係などにより決まりますが、調査費用は売買価格や仲介料に含めたり、交渉材料にしながら売買契約の中で誰が発注するかが決まるようです。

買主からの依頼の場合や、売買当事者以外(仲介者等)が依頼する場合は、あらかじめ物件所有者(居住者)の同意が必要です。建物の中に入って調査が必要なので、当然ですね。賃貸住宅の調査の場合にも屋内に入ることが必要ですので、居住者の了承・協力が必要です。

誰が発注者であっても、客観性・中立性が求められますので、発注者によって調査結果に影響を及ぼすことはありません。

守秘義務は守られます。


■ 調査費用

 

法定の範囲の調査をする場合の費用です(別途、消費税が必要です)

戸建て(150㎡未満)  5万円~
戸建て(150~200㎡) 6万円~
マンション住戸型    4万円~  
共同住宅住棟型   個別お見積り(建築の規模、構造、調査価範囲等によって費用が異なります)


調査用平面図の作成、床下・小屋裏に侵入しての調査、コンクリート圧縮強度調査、鉄筋探査、その他オプション調査、依頼主以外に対する報告書の説明、は別途となります。

既存住宅状況調査(契約・報告まで含む)だけを行う場合の費用です。

リフォームの設計をお考えの場合は、物件探し段階から相談いただければ、リフォーム設計費用とトータルで、検討させていただきます。
中古一戸建てを取得、改修して住みたい方は こちらのページもご覧ください。





■ オプション業務

 

オプション調査項目として下記の調査が有ります。

設備配管
  給水管、配水管、換気ダクト

給排水設備
  電気設備・ガス設備

その他
  外構、樋の詰まりなど


調査方法は、目視を中心とした非破壊調査により、劣化事象等の状況を把握するもので、歩行その他の通常の手段により移動できる位置から行うという原則が有ります。
足場を架けての調査や、床下・天井裏に入っての調査、周囲から見えない屋根の調査など、標準以上の調査を希望される場合は、別途費用がかかります。


調査以外の別業務

既存住宅状況調査は劣化事象等の状況を把握するという制度の趣旨なので、下記の判断・評価などは既存住宅状況調査とは異なる別業務となります。遠慮なくご相談ください。

  • 建築基準関係規定の違反の有無の判断
  •                          
  • 耐震性や省エネ性能等の性能の程度の判断
  •                          
  • 劣化事象等の原因・瑕疵の判断



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